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親子関係における携帯電話の利用と満足研究

日吉昭彦(成城大学大学院/武蔵大学非常勤講師)
杉山学(成城大学大学院)

成城コミュニケーション学研究

第168号
2000年
p67-p94




1. はじめに (担当:日吉/杉山)

本研究では、コミュニケーション・メディアの近代化によるメディア利用形態の変化と現代の若者の家族関係に着目し、移動体電話の利用が親子のコミュニケーションにとっていかなる満足を与えているかを数量調査によって明らかする。調査結果の事例から浮かび上がった現代の若者の電話利用の実態を通して、新しいコミュニケーション・メディアが家族という人間関係にはたす帯紐としての機能について考察する。

家族という人間にとっての基礎的社会集団を対象として、「話す」というコミュニケーション手段の変化の現在形を扱うことは、家族関係が直面する課題の一つである近代化という問題をコミュニケーション論的観点から分析する視点として有用であると思われる。現代の新しいコミュニケーション技術の進展のインパクトは、技術社会の進展とともにより日常生活と密接に結びつくようになっている。このようなモダニズムのなかで生じるコミュニケーションの空間を扱ううえで、家族との会話という社会関係の基礎に焦点をあてることによって、「自分の生きているコミュニケーション環境という点から自分自身をもっとよく理解する」ことができ、それを媒介したメディアの役割についても、メディア技術の栄枯衰退をある程度は超えた知見を導き出すことができると思われる。

これまでも、メディアと家族との関わりは、テレビと家族の関わりの実証的研究のなかでしばしば分析されてきた。家族にある社会化の促進機能という鍵概念を用いて、その代用となるテレビのインパクトの様々なあり方を論考した研究は、メディアの子供への影響という長期的な関心のもとで主要なアプローチの一つである。家庭のなかでテレビが娯楽的機能を通じて安定化をもたらすという論考は、テレビのをさまざま人間関係の安定化の機能的要件としてとらえるマス・メディア観の一つであり、家族とメディアの関わりを扱う研究の一つの流れである。こうしたコミュニケーション技術の進展と従来家族が持ち合わせていた機能のメディアへの拡張やシフトは、核家族化などの家族構成の変化や教育環境の変化などによる人間形成課程の変化や、複雑で広範囲な社会関係のなかで生きていくべき現代人のうつろいやすい生活上の欲求と結びついているのである。電話のような「内容が空」なメディアにおいても、こうした社会の要請や社会的な欲求によって構成されるコンテンツが存在している。

また、さまざまなメディアの発達は人間の知覚様式やコミュニケーションに多くの影響をもたらしてきた。文字の発達と印刷技術の発明によって、人間は時間や空間を越えたコミュニケーションを可能にし、また、電信の発明によって、人間は遠く離れた人間と自ら音声で意志を伝達しあうことが出来るようになった。フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションがその範囲の限界であった人間は、このようなさまざまなメディアの発達で知覚を拡張し、そのコミュニケーションの可能性を増大させてきた、メディアの発達が進んだ現在では、さまざまなコミュニケーション・メディアが存在している。文字を媒介としたメディアの系譜に属する手紙やファックス、電子メール、電信技術を基盤とする電話など、私たちの周囲には多くのメディアがあり、その発展と開発がいつまで継続するのかは測り知れない。

近年は特に、既存のコミュニケーション形式を変容させる可能性を持ったコミュニケーション・メディアが普及してきたように思われる。従来まで自動車に搭載されていた移動電話が大幅にコストダウンされた「携帯電話」や、新しいシステムをもって「携帯電話」よりも安い料金でサービスが提供される「PHS」などである(本稿では、上記の移動電話を扱い、以下「移動体電話」と称する)。本来、電話というコミュニケーション・メディアは家庭にある固定電話(家庭の据置の電話を以下では「固定電話」と称する)が主であって、移動体電話を用いるには大きなコストを必要としていたが、技術改良により、一般の人が安いコストで気軽に移動体電話を利用できるようになった。これまで一般に利用されていた音声を介したメディアで、移動性を持つものは自動車電話しかなく、それが普及したことは、友人間の、または家族間のコミュニケーショの形態を変容させるに十分なものであろう。

このような技術の進展によるコミュニケーションの形態の変容は、それにつれてメディアがよりパーソナルなものとなってゆく傾向に起因すると思われる。部屋にテレビやオーディオを置き、電話を引き、個人を主張する若者像は、近代の個人主義社会の象徴的な図像である。これらのメディアのなかには単に所有されるだけでなく、家庭を飛び出した利用を満たすものもある。歩きながら音楽を聞くことができるウォークマンや社載テレビなど、これまで家に戻らなければ接することができなかったメディアも、家庭という空間を超えて接することができるようになる。こうしたメディア形態の変化によって、従来のメディア利用時に仮定されたような、特定の利用の場面に制限されない多様な利用の仕方を生み出した。こうした利用者の主体的なメディア利用の仕方については、メディアの利用と満足を扱う研究によって論考されてきており、「携帯」できる移動体電話についても、これまで数多くの蓄積があった。たとえば、中村(1996)によると、「携帯」できる移動体電話の利用と満足は、「道具的利用」「自己充足的利用」「緊急連絡利用」の3つの充足パターンに収束する傾向があるという。

ポケット・ベルの広告に「友人と旅行中の少女の持つポケベルが鳴り、期待を胸に手にとると、それは母からの伝言であって、少しがっかりする」というストーリーのものがあった。この広告の例のように、家庭から飛び出した「携帯」できるコミュニケーション・メディアは、その利用者にとって、家庭外にも家族という社会関係を持ちだすことを容易にした。「携帯」できる移動体電話も同様で、これらのメディアを介して家族と話すことは、家庭内における知覚様式を家庭外でも可能にする知覚の拡張であるとともに、家族関係の拡張やシフトなのである。

もうしたさまざまな利用場面における、移動体電話に関するさまざまな現象については、中村(1996)も指摘しているように、いまだに明らかにされていないようである。

そこで、メディアの利用と満足を扱う研究を通じて、「携帯」できる移動体電話が親子関係に及ぼす影響について、主に利用と満足の観点から調査し報告する。「現代の若者はこうした新しい家族関係に対して、いかなる意識を持ちあわせているのであろうか」、また、「いかなる電話の利用の仕方のなかに、いかなる社会の要請や社会的な欲求が存在するのであろうか」。こうした問題を本稿を通じて、実証的に明らかにしてゆきたいと思う。

2. 調査の概要と方法 (担当:日吉/杉山)

調査は、1997年11月現在、成城大学の3学部(文芸学部・経済学部・法学部)に在籍する大学生を対象に行った。標本抽出は、1997年の成城大学総務課発行の「成城大学名簿」のなかから、360名を系統抽出法によって無作為に抽出して行った。成城大学の3学部(文芸学部・経済学部・法学部)は合計で4666人、うち経済学部が1693人、文芸学部が1807人、法学部が1166人であり、ここから標本として360名を抽出した。抽出された標本は全体の7.72%にあたる。調査実施期間は、1997年11月15日から1997年12月15日である。

調査方法は、質問紙を用いた個別面接法によって行なった。調査員は、1997年度の成城大学文芸学部にて、山中が担当する講座「マス・コミュニケーション研究法」を受講する学生35名が担当した。各調査員は、質問紙調査の手法および個別面接に関する訓練を経て、本調査の内容にも精通した後、実査を行った。

360名の標本のうち、有効回答は254名(70.0%)であった。

質問紙の調査項目は以下のような構成となっている。

第一に、対象者の属性および人工統計的変数について、性別・学部・学年・家族との居住形態の項目を設けた。さらに、日常的に利用しているコミュニケーション・ツールの種類とその利用頻度を尋ねる項目を設けた。(調査票)

第ニに、固定電話の必要性を4段階の尺度で測定した後、固定電話を利用する上での態度12項目を5段階尺度で測定した(調査票)

第三に、父親・母親の両者と別居して生活するもののみを対象に、父親あるいは母親と固定電話で話す頻度を3段階で測定した後、その「利用と満足」の度合い26項目を5段階尺度で測定した。(調査票)

第四に、移動体電話通信(携帯電話とパーソナル・ハンディ・フォンPHS)を利用しているもののみを対象に、利用時期、既存の固定電話と比較した利用の態度の変化および使い分けを、自由回答で質問した。(調査票)

さらに、移動体電話通信の必要性を4段階の尺度で測定し移動体電話通信を利用する上での態度12項目を5段階尺度で測定した。(調査票)

その後、友人と移動体電話通信で話す上での「利用と満足」の度合い26項目を5段階尺度で測定した。(調査票)

また、父親あるいは母親と移動体電話通信で話す頻度を3段階で測定し、その「利用と満足」の度合い26項目を5段階尺度で測定した。(調査票)

これら電話で話す上で得られるであろう「利用と満足」は、過去の調査研究を参考に、26項目設定し、「非常に役に立つ」から「まったく役にたたない」まで5つの選択肢を用意して、5段階尺度で測定した。

第五に、日常的なコミュニケーションにおける態度を、メディアを利用したコミュニケーションの場合と対面的コミュニケーションの場合の二つに分け、どちらが伝達を行う上での満足を得られるのか、7項目に分け質問した。(調査票)

以上の項目を、実査終了後に集計し、統計的処理を行った。結果は以下の章で述べるとおりである。

3. 結果の概要 〜集計結果から〜 (担当:杉山) 3-1. 対象者の属性と利用コミュニケーション・ツール

調査対象者の属性と利用ツールに関して尋ねた項目の結果を報告する。

まず性別であるが(表1)、回収できた調査票251票の内、男性が126票(50.0%)、女性が124票(49.21%)、無回答が2票(0.79%)と、男性と女性がほぼ半数ずつであり、理想的なサンプルであったといえる。



学部・学年(表2)では、学部別で「経済学部生」112人(44.44%)、「文芸学部生」73人(28.97%)、「法学部生」66人(26.19%)、「無回答」が1人(0.4%)で経済学部生が4割以上を占め、学年では「一年生」71人(28.17%)、「二年生」72人(28.57%)、「三年生」66人(26.19%)、「四年生」40人(15.87%)と4年生以外ではほぼ均整のとれた分布となっている。



以上、二点の偏りは「移動体電話とコミュニケーション」を考えるうえで、調査項目との相関に有意な数値は得られなかったので、調査結果になんら影響するものではないと考えられる。

次に、サンプルの居住形態(表3)であるが、「家族との同居」が184人(73.02%)、「独り暮らし」が58人(23.02%)、「両親とは別であるが兄弟と住んでいる」者が5人(1.98%)、「両親とは別で親戚や友人と住んでいる者」が4人(1.59%)、「その他」が1人(0.40%)と、「家族との同居」が全体の7割強を示し、その内で「両親との同居」が175人(69.44%)、「父のみと一緒」が3人(1.19%)、「母と一緒」が7人(2.78%)と、成城生は一人暮しが少ないことを実証している。



次に複数回答で回答してもらった利用ツール(表4)であるが、多い順に固定電話248人(98.41%)、携帯電話101人(40.08%)、ポケットベル82人(32.54%)、ファックス78人(30.95%)、PHS69人(27.38%)、電子メール25人(9.92%)、その他(回答のほとんどが手紙)7人(2.78%)で、固定電話の圧倒的な普及率を示している。特筆すべきは移動体電話の予想外の普及率の高さで、携帯電話もしくはPHSを6割を越すサンプルが利用している結果が出ている。この内、最多頻度で利用しているツールは、固定電話145人(57.5%)、携帯電話54人(21.4%)、PHS33人(13.1%)、ポケットベル14人(5.6%)、電子メール4人(1.6%)、ファックス1人(0.4%)であり、移動体電話利用者165人のうち84人が移動体電話を最多頻度で利用している回答していることから、固定電話の普及率と最多利用率とのギャップが存在することが明らかになる。



3-2. 固定電話の必要性と態度尺度

 固定電話の利用と満足を測定する質問は、固定電話の所有者248人を対象に回答を求めた。

まず質問3-2で、そのニーズの測定を行った。質問項目は固定電話のない生活に対する不安とニーズを4段階に分けて作成した(表5)。



結果は順に「固定電話のない生活が不安であり、置いておきたい」が161人(63.89%)、「不安ではないが置いておきたい」と回答したものが50人(19.84%)と、実に8割を超えるサンプルが固定電話の必要性を感じている。

次に固定電話に対する態度について聞いているが、これに対する平均得点を表にまとめたのが表6である。



調査用紙では「よく当てはまる」に5点、「全く当てはまらない」に1点を与えている。中間点の3点に達する項目は12項目中9項目あり、その他はみな4点台という結果から、固定電話に対しての態度は普及率と比例した形で高いと推定できる。

だが、項目3「仕方なく使う」や項目9「身近な人と連絡を取る」を除いて、平均の誤差が1点以内に収まっていて、全体に均整のとれた得点状況になっている。

「家族とのコミュニケーション」の観点から、両親とは別居しているサンプルに対し、固定電話を用いて両親と話す程度と固定電話を利用した両親との会話について、電話で話す上での利用と満足を26項目あげ、5段階評価で測定し、「非常に役に立つ」から「まったく役に立たない」まで5段階の選択肢に、各々5点から1点の得点を与えて、回答を求め、その平均得点を算出した(表7)。



一人暮しの学生の総合的なサンプル数が少ないので一概に言うことは出来ないが、両親と電話で話す程度は比較的少なく、また今回の調査の結果では二三の項目を除いてほとんどが中庸である3得点以上を示していることから、全体的に両親と固定電話を用いて接するときには満足度が高いことが言えるだろう。

3-3. 移動体電話の必要性と態度尺度

 移動体電話の項目に回答した者は、それを利用している163のサンプルである。

移動体電話に関する利用と満足を測定する調査項目も、固定電話と同じくニーズとそれに対する態度、利用形態の3つの指標をもって測定した。それに加えて、移動体電話の利用を開始した時期やそれによる生活の変化、固定電話との使い分けを自由記述方式で回答を求めた。

 まず、移動体電話のニーズについて、携帯のない生活が「不安であり置いておきたい」が52人(31.90%)、「不安ではないが置いておきたい」が71人(43.56%)と、ニーズを感じている者が75%を越えている(表8)。



固定電話と異なる点は、無くなることに関して不安を感じているものが少ないことであろう。では、移動体電話に対する態度はどうであろうか。固定電話と同じく、各項目での平均得点を算出したのが表9である。



特徴的なのは、固定電話に対する態度と比べて各項目の値に大きな差異が表れていて、全体的に均整がとれていない点である。特に目に付くのは、固定電話に比べて通話料金が高いというデメリットがあるので、項目6「目的無く話す」や項目10「長電話をする」といった項目について意識が低い点と、移動中にどこからでもかけられる移動体電話に関して、項目2「連絡だけで済ます」については意識が高い点である。表9の結果から推測できるのは、移動体電話全体として、より「パーソナルな」利用についての意識の高さである。

 こういった態度の元で、利用に対してどのように満足しているかを、相手を友人・両親に二分して固定電話と同じ26項目を以て測定し、その平均得点を表にしたのが表10である。まず、友人が相手であると、項目の多くが中庸である3点以上を記録しているのに対して、両親が相手となるとほとんどの項目が2点台の中間から後半という全体的に得点の低い結果が出ている。この対照的な結果は、移動体電話が友人を相手に多く利用され、友人を相手にしたときに多くの満足を受けていることであろう。



3-4. 移動体電話未使用者に対する質問結果

 現在移動体電話を利用していないものには、今後の利用希望を「利用したい」、「利用したくない」、「どちらともいえない」の3尺度をもって質問し、その理由を自由記述で回答してもらった(表11)。



その結果、今後「利用したいもの」が40人(45.97%)、「利用したくないもの」17人(19.54%)、「どちらともいえない」ものが30人(34.48%)であり、その理由は「利用したい」ものは「あると便利だから」、「利用したくない」ものは「今のままで充分だから」、「どちらとも言えない」ものは「便利だが、今のままでも充分である」という傾向の回答に終始していた。

「利用したくない」もののごく少数に「生活が縛られる気がする」、もしくは「プライヴェートが侵される」といった理由を挙げたサンプルもいたが、現在利用していないものにとっても、「移動しながら電話が出来る」、もしくは「いつでも連絡を取れる」ことに対して「便利さ」を感じているようである。

3-5. コミュニケーション態度の測定

 現在移動体電話を利用していないものには、今後の利用希望を「利用したい」、  調査票の最後に、全サンプルに対してコミュニケーション態度を複数回答で質問している。質問はフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションと、電話などのメディアを通じたコミュニケーションで、「気持ちを伝える」「時間の共有」「落ち着いた話」「相談事」の4つに対してどう感じるか、ということを根幹に7つの質問文を用いた(表12)。



この表を見ると、メディア指向のコミュニケーション態度に対して、サンプルが違和感を感じていることが推測できる。これは移動体電話への利用項目の結果や移動体電話利用者のほとんどがそれを最多頻度で利用しているという実態と矛盾する観のある結果となっている。

 以上が、調査票を単純集計した結果とそこから分析できるものである。次の章では様々な観点から各項目を分析した結果と、そこから考えうる論考を行ってゆきたい。

4. 親子関係における移動体電話の利用と満足の構造変化(担当:日吉)

4-1. 利用と満足の構造変化- その方法-

 移動体電話の利用の普及によって、親子間のコミュニケーションにいかなる変化が見られるのであろうか。

本節では、電話で親子間で話す際に、従来の固定電話と移動体電話で話す場合とでは、利用の場面においていかなる利用と満足の構造の違いが見られるかという観点から、この問題を明らかにしたい。

 方法として、質問4-2(両親とは別居しているものが固定電話で話す場合)における固定電話に関する利用と満足26項目のそれぞれについて平均得点を算出し、さらに相関係数の最大値で共通性の推定を行ない、バリマックス回転を用いて、因子分析を行った(利用した統計パッケージはSPSS)。

 親と同居しているものが固定電話で親と話すことは、比較的に少ないと考えられるので、両親とは別居しているものが固定電話で話す場合(質問4-2)と、移動体電話を利用しているものが移動体電話で両親と話す場合(質問7-2)の利用と満足の構造を比較した。その結果、おのおの5つの因子が析出された。

4-2. -両親と話す固定電話の利用と満足

両親とは別居しているものが固定電話で親と話す場合の利用と満足は以下のような構造となっている。累積寄与率は57.41%であった。各項目の寄与率およびSD法による得点の平均は表13を参照していただきたい。



  • 第一の因子として、暇つぶしや相談、商品情報の交換、楽しい会話など、電話で話す話題に関わるものなどが高い因子寄与率で抽出された。これらは「目的的コミュニケーションの確保」についての因子である。
  • 第二の因子は、交流を持つことや相手を身近に感じること、まめに接すること、コミュニケーションの確認、気づかいなど、「安心感覚の確保」についての因子である。
  • 第三の因子は、両親以外に話づらい話ができる、生活情報を聞くことができる、相手の近況がわかる、頼みごとができるなど、親子間ならではの話題に関わるものであり、「プライベートな空間の確保」に関わる因子である。
  • 第四の因子は、料金や時間など、電話利用によって生じる具体的な社会背景がおよぼす心理的なプレッシャーであり、「社会感覚の確保」の因子である。
  • 第五の因子は、相手の安否への心配の解消や寂しさを紛らわすのなど、日常生活で抜け落ちたものを埋めようとする欲求に関わるもので、「不安解消の手段の確保」についての因子である。
従来の固定電話の利用と満足の因子は、1)道具性、2)自己充足性、3)安心の3因子に収まるものであるといわれてきた(中村 1996)。本調査では、やや質問項目が具体的となり項目数が多いため、因子の数も多くなったが、「社会感覚の確保」は(1)の道具性として、「目的的コミュニケーションの確保」や「プライベートな空間の確保」は(2)の自己充足性にあたるものと考えられる。(3)の安心は、緊急時連絡に関わる安心を意味するものであるが、「不安解消の手段の確保」「安心感覚の確保」は(3)の安心にあてはまるとも考えられる。

にあてはまるとも考えられる。 「緊急の連絡の際にすぐ連絡がとれる」という項目は、予想外に「目的的コミュニケーションの確保」の一つとして位置付けられた。これは対象者が10代後半から20代前半の学生であったこと、および、親との話に限定した質問であったことから、緊急連絡といっても一つの話題となる傾向が生まれたためと考えられる。「目的的コミュニケーションの確保」に収まった質問項目は、おおむねSD値が低く、「話題」そのものに満足感を見い出しているとは考えづらい。緊急時の連絡をふくめ、「手軽さ」を基軸にした道具性に満足が見い出されている。

両親との話に限定した場合の利用と満足の因子であっても、ある程度は従来の一般的な電話の利用と満足の構造と類似している傾向があることが分かる。

4-3. 両親と話す移動体電話の利用と満足

移動体電話利用者の移動体電話で親と話す場合の利用と満足は以下のような構造となった。累積寄与率は62.66%であった。各項目の寄与率およびSD法による得点の平均は表14を参照していただきたい。



  • 第一の因子は、商品情報の交換や悩みや相談、友人などと話しづらい話、両親ならでの話ができるなど、「目的的コミュニケーションの確保」についての因子である。
  • 第二の因子は、身近に感じることや一体感を得ること、交流をもつことなど「安心感覚の確保」についての因子である。
  • 第三の因子は、近況報告や相手のスケジュールの確認、頼みごと、緊急連絡など、「手軽な連絡手段の確保」についての因子である。
  • 第四の因子は、料金や時間など、「社会感覚の確保」の因子である。
  • 第五の因子は、互いの相手の安否への心配など、「不安解消の手段の確保」についての因子である。


電話と移動体電話を比較すると因子の構造はほぼ類似しているようだが、固定電話にみられた第三因子「プライベートな空間の確保」の因子はなくなり、そのかわりに「手軽な連絡手段の確保」という因子が新しく析出された。また、累積寄与率や各因子の寄与率が、両親とは別居しているものが固定電話で話す場合よりも高く、しかもSD値はのきなみ低くなっている。新しく析出された「手軽な連絡手段の確保」のみに満足があることが示されている。ここから、ある程度利用の仕方の幅が狭まり、限定した利用のされ方があることが考えられる。

4-4.. 親子関係における電話の利用と満足の構造変化
-固定電話と移動体の場合-


各因子を構成した項目に注目すると、因子の特性は似通っていても、具体的な利用の仕方に、固定電話と移動体電話では違いがあることが分かる。

まず、固定電話で見られた「プライベートな空間の確保」という因子は、移動体電話では「手軽な連絡手段の確保」という因子にかわった。因子を構成する項目も近況報告や緊急連絡などが固定電話では「目的的コミュニケーションの確保」に見られたのだが、移動体電話では「手軽な連絡手段の確保」に取り込まれている。

移動帯電では会話内容を表す「目的的コミュニケーション」の確保を構成する項目が増えている一方、「不安解消の手段の確保」を構成する項目は、安否に限定されている。多くの対象者が、質問5-4で、移動体電話は「外出先で使うことが多い」「連絡だけですますことが多い」などと回答していることから、移動体電話ならではの「手軽さ」や「携帯する」特徴から生まれたものであるようだ。

また、「緊急の連絡の際にすぐ連絡がとれる」という項目は、「手軽な連絡手段の確保」という因子を構成している。これも同様に、「携帯する」特徴を表しているといえる。中村も「「緊急時の連絡手段」や「安心」と名付けられた因子が携帯電話ではアクセシビリティーの確保という携帯電話特有の因子に取り込まれている」と述べており、同様の傾向が見られた。

固定電話で「不安解消の手段の確保」という因子を構成した「寂しさを紛らわすことができる」や「安心感を得ることができる」という項目は、移動体電話ではそれぞれ「目的的コミュニケーションの確保」「安心感覚の確保」という因子を構成した。このことは、既存の固定電話で手段だったものが、「携帯する」という機能のなかで、ごく自然に話題や安らぎに変わったことであると考えられる。これまでの研究で明らかにされた電話における利用と満足の因子を参考にすると、親子関係における移動体電話の利用と満足は、これまで「道具性」から説明されてきた利用の仕方が、「自己充足性」という観点から説明できる利用の仕方があるということである。

固定電話では「目的的コミュニケーションの確保」を構成した「楽しい会話ができる」という項目も、移動体電話では「安心感覚の確保」を構成した。

つまり、これまでの電話にあった、手軽さや確認の挨拶、また目的を持った会話といった要素は、このように移動体電話では安心感覚といった心理状態で説明されることになったのである。このことからは、会話の内容や互いの理解といったコミュニケーションを簡易にした「携帯する」電話の普及と、それを道具であることを意識せずに、自在に使いこなす現代のメディアの利用者像を見ることができる。しかし、一方では、繋がっているという感覚や、短く軽いコミュニケーションに安らぎを求めざるを得ないという、現代の若者のコミュニケーション感覚を見てとることもできるのである。

ここで、各因子ごとにSD法による得点の平均をみてみたい(表13・14参照)。両親とは別居しているものが固定電話で話す満足度は高く、「プライベートな空間の確保」をのぞいては、すべて中間の3点を超えている。「手軽な連絡手段の確保」という因子が最も平均点が高く、以下、「安心感覚の確保」、「社会感覚の確保」「不安解消の手段の確保」などとなっている。各項目ごとにみると「緊急連絡」 が最も高く、以下「元気かどうか確認」、「近況報告」、「生活情報を聞く」などとなっている。

故郷と両親の元を離れ、大学という多様な人々の集まる社会で学ぶ者にとって、固定電話が与える満足は大きく、距離を超えることのできるメディアとしての電話にある利用と満足を計り知ることができる。単に簡易さが安らぎに結びつくのではなく、「緊急連絡」や「生活情報」など、「生きる」上での必要不可欠なコミュニケーションをメディアの機能の内に含ませた上での満足なのである。

それに対して、移動体電話を利用しているものが移動体電話で両親と話す場合の満足度は軒並み低く、「手軽な連絡手段の確保」という因子以外は、すべての項目で中間の3点を下回っている。そのなかで「緊急連絡」は、固定電話の場合よりも高く、「頼みごと」、「近況報告」、「相手のスケジュールを聞く」となっている。 このように、移動体電話が親子関係に与える満足は非常に限定されており、ごく簡単に、いまの自分のおかれた状況を伝えることができるという、「道具性」の部分のみに満足が集中していて、それらが、安らぎや親密なコミュニケーションに対して満足を与えることはないようである。

すでに述べたように、親との電話での話は、従来の電話の利用と満足と類似した傾向があった。そこで、両親とは別居しているものが固定電話で話す場合と、移動体電話を利用しているものが移動体電話で両親と話す場合の利用と満足の構造の違いからは、電話の形態による利用と満足の違いが明らかになることになる。その結果、移動体電話の満足は「アクセシビリティー」の確保のみにあらわれるという、極端な像が浮かび上がった。因子の構造変化からは、利用における「道具性」の「自己充足性」への転換が示唆されたわけである。しかし、それらが満足度に貢献することはなかった。

これらは質問4で明らかになったように、移動体電話で両親と話す頻度が低いことも関わりがあると考えられる。家族と移動体電話で話すことの意義をさらに考察するためには、移動体電話を利用する上での別場面の分析が必要である。そこで、移動体電話を利用するものが友人と話す上での利用と満足の構造を以下で分析したい。

4-5. 友人と話す移動体電話の利用と満足

移動体電話を用いる際に、親子で話す場合と友人同士で話す場合とでは、利用の仕方においていかなる違いが見られるのであろうか。

電話で話す対象者によって、利用と満足の構造が異なるかどうか、因子分析を用いて明らかにしたい。移動体電話利用者を対象に、両親と話す場合と友人と話す場合の利用と満足の構造を比較した。

両親と話す場合の利用と満足の構造は第10節で述べた通りであるが、以下は、友人と移動体電話で話す場合の利用と満足の構造である。累積寄与率は50.11%とやや低いが、両親と電話で話す場合と異なり6つの因子を析出された。各項目の因子負荷量や寄与率およびSD法による得点の平均は表15を参照していただきたい。各項目の寄与率およびSD法による得点の平均は表15を参照していただきたい。



  • 第一の因子は、友人にしかできない話、商品情報、友人にだけに話せる話ができる、生活情報について話ができるなど、電話で話す話題に関わるもので、「目的的コミュニケーションの確保」についての因子である。
  • 第二の因子は、安心感や相手を身近に感じること、一体感の確認、コミュニケーションの確認など、日常生活を送る上でのコミュニケーションそのものを求める欲求に関わるもので、「安心感覚の確保」についての因子である。
  • 第三の因子は、互いの安否への心配の解消や、元気であるか確認できる、気づかいを伝えるなど、日常生活で抜け落ちたものを埋めようとする欲求に関わるもので、「不安解消の手段の確保」についての因子である。
  • 第四の因子は、近況報告や相手のスケジュールの確認、頼みごとができる、緊急連絡ができるなど、電話利用そのもにに関わる利用と満足で、「手軽な連絡手段の確保」についての因子である。
  • 第五の因子は、会わずにまめに接することや暇つぶしや、寂しさの解消、など、電話利用の疑似行為化をあらわしており、「コミュニケーション手段の確保」についての因子である。
  • 第六の因子は、料金や時間、世間話など、電話利用によって生じる具体的な社会背景がおよぼす心理的なプレッシャーであり、「社会感覚の確保」の因子である。
友人と話す場合の利用の仕方はバラエティーに富んでいると考えられる。そのなかでも、友人と話す場合と、親と話す場合を比較すると、第一にこれまでの因子名では説明しづらい因果が現れた。第五因子である。第ニに、両親と電話で話す場合に寄与率の低かった第五因子「不安解消の手段」は、友人と話す場合は寄与率が高くなり第三因子となった。

各因子を構成した項目に着目すると、話題を表していると思われる「目的的コミュニケーションの確保」についての因子で、親と話す場合に「安心感覚の確保」であった交流をとることができるという項目が、友人と話す場合は「目的的コミュニケーションの確保」、つまり話題に変わっている。また「不安解消の手段」という因子をのなかに気づかいを伝えることができるという項目が見られ、自己充足のなかにも双方向性の要因が入ってきたと考えられる。「コミュニケーション手段の確保」についての因子では、「悩みや相談ができる」という項目が因子を構成しているが、これは親と話す場合では「目的的コミュニケーション」を構成していたものである。これも同様に、話すことそのものが安心感につながるという、内容よりも接することを重視している傾向を表していると考えれらる。また、新たに析出された第五因子である「コミュニケーション手段の確保」であるが、親と話す場合は「目的的コミュニケーション」「安心感覚の確保」の因子を構成していた項目が、新たに収束して新しい因子を構成したものである。これも同様に、電話で話すことそのものが利用の仕方であることを示唆していると考えられる。「社会感覚の確保」に世間話ができるという項目が含まれていることは、移動体電話が外出先で用いられ、常に話すことが見られている、という携帯性から導かれた変化であろう。

各因子ごとにSD法による得点の平均をみてみたい(表15参照)。友人と移動体電話で話す満足度は高く、「社会感覚の確保」をのぞいては、すべて中間の3点を超えている。親と移動体電話で話す満足と比較すると、満足度は非常に高い。

「手軽な連絡手段の確保」という因子が最も平均点が高く、以下、「安心感覚の確保」、「コミュニケーション手段の確保」、「不安解消の手段の確保」、「目的的コミュニケーション」などとなっている。各項目ごとにみると「緊急連絡」が最も高く、以下「相手のスケジュールを聞くことができる」、「近況報告」、「頼みごとができる」などとなっている。

このように友人と話す場合の満足は「道具性」をあらわす因子で満足度が高いことがわかる。親との話に関してはその傾向がより強く現れていた。この意味では、満足度の差を考慮しても、親と話す場合と友人と話す場合両者に、類似した傾向が認められる。単に若者同士だけに、繋がるだけのコミュニケーションというものがあるわけではないことを示唆している。つまり「自己充足性」を通じた移動体電話の利用の仕方を認識しながら、満足度は「道具性」に認めている。このことは、電話というメディアを通じて人の暖かさやふれ合いを求めつつも、道具としての移動体電話に耽溺することで、コミュニケーションを済ませてしまうという、現代の人間関係を現しているのである。

4-6. 利用と満足の構造変化
-「携帯」性の支配-


ここまで議論を踏まえたうえで、問13-15の分析を通して、固定電話と移動体電話の違い、家族や友人との関わりについて総括してみたい。

「社会感覚の確保」の因子では、固定電話の満足度が高いが、移動体電話では両親と話す場合と友人と話す場合は低い。話す時間は料金が結びついているため、移動体電話の料金体系についての意識が現れ、一つの因子を構成したと考えられる。

ここで特徴的なのは、固定電話の因子には含まれなかった「世間話ができる」という項目である。同一の因子を構成したことから考えると、料金とともに移動体電話の特徴である「外で話す」が、「世間話ができる」という利用についての満足を低くしたと考えられる。いつでもどこでもかけられるという移動体電話は、固定の公衆電話よりも、より公衆のなかで話すことになるものである。「世間話」の定義はあいまいだが、一般に公に理解されている話であると考えるなら、公衆のなかで公を持ち込むことに対する一種の引け目が現れたのではないだろうか。すでに述べたように、プライベートという因子は、移動体電話においてはなくなっている。「相手ならではの話」「相手にしか話せない話」という項目は、満足度の点で低い因子である「目的的コミュニケーションの確保」という因子に組みこまれた。このように、電話というメディアの特徴である一対一の通信によるプライベートな空間の創出という感覚が、移動体電話ではなくなっている。これは移動体電話の「道具性」が、話す内容に与えた影響であろう。

家族や友人という関わりを、その「道具性」でもって公の場に拡大しつつも、その公の場にあるのは、「手軽な連絡手段の確保」をして満足する、プライベートを失った儀礼的コミュニケーションである。現在の段階では、移動体電話は密接で深い関わりを公の空間に延長したのではない。その「携帯」性で持って失った家族や友人とのつながりを、逆接的にも、欲求という形のみで回顧しているのかもしれない。

「手軽な連絡手段の確保」をあらわす因子で満足度が最も高くなる傾向は、固定電話・移動体電話で共通のものであった。また「目的的コミュニケーション」をあらわす因子に満足度が低いのも3者共通であった。質問3-3や5-6のプロフィールで明らかになった電話好きの若者たちは、身近なコミュニケーションにより便利なメディアを介して絆を求めながらも、糸電話の糸を切らないように不安げに話す時のように、「携帯」性に支配されているのである。

5. おわりに(担当:日吉)

以上、調査の結果からみてきたように、現代の若者の家族間コミュニケーションにおいて、移動体電話によるコミュニケーションが満足感をもたらしているとはいいがたいようである。こうしたコミュニケーションに、自己充足のための利用とその手段である道具性への満足を見い出す姿があった。これは現代の若者の家族観によるものなのか、あるいは移動体電話というコミュニケーション・メディアにある技術的特性によるものなのか。この点については、今後の移動体電話の普及状況や利用の日常化などを見きわめながら、実証的研究によって明らかにしていく必要があるだろう。いずれにせよ、本調査を通じて現代の若者のコミュニケーション環境と人間関係を明らかにするという目的は、ある程度は達成できたと考えられる。



     註1)この調査は、成城大学文芸学部マス・コミュニケーション学科の必修科目である「マスコミ研究法」(担当:山中正剛・成城大学名誉教授)の講義の一環として行われたものである。調査の立案・企画・調査員のトレーニングは日吉が山中の授業を通じて行い、調査実施過程および調査票のデザインは日吉が、調査実施は「マスコミ研究法」の受講者約30名が、データの入力作業と分析および論文作成は日吉と杉山が共同で担当した。調査は科学的な手法に基づいて行われ、調査結果は統計的な処理を施されており、調査結果や分析の信頼度および責任は一切、日吉・杉山にある。

参考文献
     Brown, Jane Delano, Childers, Kim Walsh, Bauman, Karl E., Koch, Gary G., "The Influence of New Media and Family Structure on Young Adlescents's Television and Radio Use", Communication Research, Vol 17;No1 Feb, 1990
     Comstok, G.A. and Rubinstein E.A.(ed) "Television and Social Behaviour Vol3", Washigton D.C. GPO, 1972
     Dimminick, Jhon W., Sikand Jaspreet, Patterson, Scott J., "The Gratifications of the Household Telephone: Sociability, Instrumentality, and Reassuranc", Communication Research, Vol21;No5 Oct., 1994
     Domminick, Joseph R., "The Portable Friend: Peer Group Membership and Radio Usage", Jpurnal of Broadcasting, 18:2. 1974
     木下栄二(1996)「親子関係研究の展開と課題」、野々山久也・袖井孝子・篠崎正義編著『いま家族に何か起こっているのか』ミネルヴァ書房
     小島明・廣畑一雄・清水正三郎(1983)『子どもの中のテレビ』国土社
     Krugman, Herbert E., Hartley, Eugene L., "Passive Learning from Television", The Public Opinion Quarterly, No2 Summmer, 1970
     マーシャル・マクルーハン(1967)『人間拡張の原理 〜メディアの理解』、後藤和彦・高儀進訳、竹内書店新書
     水野博介(1990)「ニューメディアと家庭生活」、竹内郁郎・児島和人・川本勝編『ニューメディアと社会生活』東京大学出版会
     盛岡清美(1987)『現代家族の社会学』放送大学教育振興会
     無藤隆(1987)『テレビと子どもの発達』東京大学出版会
     中村功(1996)「携帯電話の利用と満足 〜その構造と状況依存」『マス・コミュニケーション研究』No48、 1996
     日本経済新聞「親子の関係を分断?携帯電話・PHS」1月5日、1997
     ニッセイ基礎研究所(1995)「情報機器がつなぐ現代家族の絆」『基礎研レポート』
     岡田直之(1992)『マスコミ研究の視座と課題』東京大学出版会
     佐藤悦子(1986)『家族内コミュニケーション』頚草書房


 
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本論文について

要 旨
 移動体電話の利用が親と子のコミュニケーションにとっていかなる満足を与えているか社会調査により明らかしたものです。メディアの「利用と満足研究」の方法を応用した質問紙調査で、移動体電話利用の欲求を26の質問項目で尺度化し、因子分析によってその構造を分析しました。自己充足的な利用と道具性への満足という、やや極端な結果が見られました。

特 徴
 「家族」をテーマにした携帯電話に関する調査が少なかった当時、テーマ自体が特徴の一つだったと思います。

解 説(簡単な)
 携帯電話のCMなどでは、新しい技術が「家族の絆」や「つながり」を作り出すかのようなメッセージが強調されています。一方、新聞などの報道に見られるように、携帯電話がむしろ「家族を崩壊」させたり、「子どもが巻き込まれる犯罪を助長」することが社会問題化した時期でもありました。では果たして、「実際の利用者」はどのように考え、意識しているのでしょうか?

Backstage
 この調査は、私が成城大学文芸学部マス・コミュニケーション学科の「マスコミ調査法」という授業のTA をしていた頃に行ったものです。当時の授業担当で、私のゼミ指導教授の山中正剛先生が「ケータイについて調査したい」とおっしゃり、いくつか資料をいただきました。私としては、「ケータイ」は、専門外でもありますし、一方で、ケータイ関係の調査は、組織的にも行われていることも多々ありましたので、どうしてももう一つ新しいテーマが必要と考えておりました。そんな際に、先生が家族関係でお悩みになっていると、世間話などをする機会があり、「ケータイと家族」で調査しては、と提案させていただきました。
 こうして調査設計や、学生さんへのインストラクションなど、TA をしていた授業で社会調査の講議の教育実習をしているかのような雰囲気の中で行われた調査です。山中先生には心より感謝申し上げたいと思います。お手伝いいただいた杉山さんにも合わせてお礼申し上げます。
 

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2002年に行った本調査の追試
本論文が取り上げられた新聞記事(福井新聞)
本論文が取り上げられた新聞記事(朝日新聞)


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