-マスコミ実習-
成城大学文芸学部マスコミ学科
2003年
担当者:日吉 昭彦(ひよし あきひこ)

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「メディアの内容分析」の授業に関する補足
〜内容分析レポートについて〜



タイトルを考えるコツ


POINT1
  分かりやすく、明解なタイトルで!
POINT2
  タイトルには、研究テーマと調査対象が含まれると分かりやすい



記事の"!"や"?"にみるセンセーショナリズム
〜三大紙とスポーツ紙の比較〜

記事の"!"や"?"にみるセンセーショナリズム
      ↑         ↑
   メイン調査項目    研究テーマ

三大紙とスポーツ紙の比較〜
  ↑    ↑
 調査対象A  調査対象B
1. 表紙について

※表紙には1ページ割く

※「タイトル」を明記
  → 一言でレポート内容が伝わるように/新聞や雑誌の「見出し」も参考になる

※「著者/調査主体」を明記
  → 個人なのか組織・団体の調査なのか.....調査の性格が分かるから

※「提出先」を明記
  → 読者が調査の目的を理解するのに役立つ

※「提出日」を明記
  → おおまかな時代が分かる





2. もくじ

章立を明記

ページ数を明記(どの章が何ページか)

POINT1
4章構成+α」は最も一般的なスタイル



 第一章 はじめに
 第二章 調査方法
 第三章 調査結果
 第四章 結論
  参考文献
  脚注
POINT2
調査など流れのある作業では、「章」の中の「項」で整理すると読みやすい



 第二章
  第一項 調査の概要
  第二項 調査対象について
  第三項 調査項目と分類基準
  第四項 仮説

 第三章
   第一項 全体の傾向
   第二項 スポーツ紙の傾向
   第三項 三大紙の傾向
   第四項 "?!"と媒体の違い
   第五項 "?!"と記事面積の関係


3.  序論/序章/はじめに/問題意識......

※「なぜこの調査でメディア・メッセージの分析をするのか」その説明になっている論を展開
 → 第一回目の授業で話した「マス・コミュニケーションの流れ」と「メディア・メッセージ」の関係....つまり「マスコミ理論」をよくつかんでおく

※「なぜ調査を行ったのか?」その説明になっている論を展開
 → 第二回の授業で話した「過去の研究事例」と「今行っている調査」との関係をつかんでおく

※「なぜ、このような調査が必要なのか?」その説明になっている論を展開
 → 第三回の授業で話した「現代的意義」と「今行っている調査」との関係をつかんでおく

※「なぜ、このような対象を選んだのか?」その説明になっている論を展開
 → 第六回の授業で話した「対象選択の理由」をふまえ、上記の項目を考慮にいれつつ、その理由を明記する

※「調査を通じて、どのようなことが明らかになると思われるか?」研究仮説を明記する

※ポイント1からポイント3までは、全て含めてもよいし、一部に着目してもよい。

※以上の項目を、箇条書きではなく、一連の文章にするのがよい



(「マス・コミュニケーションの流れ」と「メディア・メッセージ」の関係)
マスコミは、しばしばセンセーショナリズムに訴えかけた言論を行うことが多いと言われてきた。(主なテーマ)
「!」や「?」ような記号は、メッセージを強調したり、メッセージが不確実なものであることを表している。(メッセージについて)
新聞は人目を魅くような記事で販売を伸ばしたり、より早い特ダネを掲載するために不確実なニュースを掲載することがある(送り手について)
新聞読者も、興味本意で事件に接したり、話題を持つためにニュースを読んだり、不確実なニュースでも思い込みのように信じてしまうことがある。(受け手について)
社会の公器であるマスコミは、スポーツ紙や三大紙を問わず、責任を持った言論を行う義務があると思われ、センセーショナリズムの現代的意義は現在進行中の課題であろう(理論的課題)

(「過去の研究事例」と「今行っている調査」との関係)
過去の研究事例では、「?!」はイメージを通して、センセーショナリズムに訴えかけると言われてきた。
○○氏の調査(○○、1989年)では、三大紙よりスポーツ紙のほうが、「?!」が多く、スポーツ紙は政治的なニュースにおいてもイメージを通じて報道を行うことが明らかにされている。一方、少なからずの三大紙にも「?!」が含まれていることは注目にあたいするだろう。

(「現代的意義」と「今行っている調査」との関係)
現在、イギリスなどを中心に発生している狂牛病報道などをふまえると、センセーショナリズムに訴える言論・報道活動は、生活の一面を限定的にとらえることとなり、日常生活の不安をかえって煽っているような側面がある。

(「対象選択の理由」)
実際、スポーツ新聞の紙面における「狂牛病報道」は過剰で過熱しているように思われる。一方、三大紙もスクープによる訂正記事などが出るなど、スポーツ紙と三大紙が、センセーショナリズムという観点からは、類似した性格を持っているように思われる。

(研究仮説)
こうしたことから、スポーツ新聞と三大紙が見出しでの「?!」の記号の用い方という点で類似しているのではないかと考えた。

この調査は、この点を明らかにするため、メディアの内容分析という手法を用いて、新聞のメッセージ分析を行ったものである。
新聞第一面の記事を対象に、「?!」の有無などを調査したものである。



4. 「方法」について

※以下の項目を網羅していることが望ましい(必須!)

 ・調査の概要
 ・調査対象について
 ・調査項目と分類基準
 ・仮説

調査の概要

 ※いつ/どこで/だれが/なにを/どのように

 2001年10月に....
  大学の授業内で....
 グループ単位で.......複数のコーダーで
  三大紙とスポーツ紙を.....
  数量化による内容分析によって....

 ※以上の項目を、文章あるいは箇条書きで、明記する
調査対象について

 ※具体的なメディア名/分析した日や号数・年など
 ※なぜ、その対象を選択したのか?

・日刊スポーツ
 2001年10月の毎週の、火曜・木曜・土曜
・読売新聞
 2001年10月の毎週の、火曜・木曜・土曜

・キヨスクで手に入りやすく、発行部数も多いスポーツ紙として、上記二新聞を対象とした......ナド
.........積極的理由
・本来なら、他の媒体もふくめるべきだが、時間と予算の都合上、二紙に限定することにした....ナド
.........消極的理由

※以上の項目を、文章あるいは箇条書きで、明記する
調査項目と分類基準

[調査項目]
具体的に分析した項目を明記する
※文章あるいは箇条書きで
巻末資料にコーディング表を付加しておく

[分類基準]
※主に以下の項目2-3のような「従属変数」について、どのように分類したのかを明記
※たいては文章によって明記する。

[調査項目]
 項目1 新聞の種類 (スポーツ紙/三大紙)
 項目2 「!?」の有無 (有/無)
 項目3 記事内容 (政治/経済/スポーツ/その他)

[分類基準]
※例の場合、独立変数は「新聞の種類」で、従属変数は「?!の有無」と「記事内容」である。独立変数「新聞の種類」に関してはすでに「前書き」と「調査対象」で説明してあるので、基準は「従属変数」が中心になる。

 「!?」の有無で「有」とコード化された場合は、「!」あるいは「?」が、記事内容のどこかに、一つでも登場した場合である。
 「!?」が両方登場した場合も「有」、「?!」が複数登場した場合も「有」とコードされている

 「記事」に関しては、調査対象の「第一面」のみを対象として行った。
 「政治」とも「経済」とも分かちがたい記事の場合は、「見出し」によってどちらが注目されているのか、二人のコーダーで話し合って決定した。
 「生活」や「家庭」「犯罪」などの記事は、「その他」に分類した。
仮説

※調査・研究における具体的な仮説を明記する。

 スポーツ新聞と三大紙では、「?!」の数に違いがみられないだろう
 「政治」の記事では、三大紙では「?!」がやや少ないだろう
 スポーツ紙は、記事内容に関わらず、「?!」が使われるだろう


調査結果について

1. 全体の書き方
スタイル1
 はじめにおおまかな結論を書いてしまい、その後に結論と関わるデータを見せながら解説する
    ↓                        ↓
 統計的に関連の見られた項目から結論を導き、統計的に関連の見られたデータを中心に記述する

スタイル2
 個々のデータを逐一説明した後に、結論を書く
       ↓
 それぞれのデータに統計的関連が見られるかどうか解説し、見られない場合もその理由を推測し、総合的に結果を導く

2. 個別のデータの書き方
スタイル1
 問題意識で書いたテーマに関わる分析を中心に、データを見せながら解説する
         ↓                 ↓
 「関連/違い」に注目するので、クロス表やt検定結果が中心になる

スタイル2
 分析に用いた項目にそって順次、データを見せながら解説する
         ↓      ↓
 各項目の単純集計結果まとめた後に、クロス表やt検定結果を示す

3. 統計結果のデータの示し方
スタイル1
 まず文章で一つの項目の結果を要約する
 その段落の下に、クロス表を示す
 さらに次の項目の結果へと続く

スタイル2
 文章のみで、分析に用いた結果を概略する
 分析した各項目の結果の要約を続ける
 クロス表などは、巻末/文章末/章末に付す

4. 検定結果のデータの示し方
スタイル1
 クロス表の下に、小さく検定結果を付記し、文章では「統計的な関連の有無」のみにふれる

例:
「一般紙」と「スポーツ紙」によって「?!の有無」に関連があるか分析した結果、「一般紙」は「?!」が少なく、「スポーツ紙」は「?!」が多い。以下のクロス集計表にもあるとおり、統計的にも関連が見られている。




スタイル2
 結果の要約をするときに、検定結果を示し、関連の有無を明らかにする

例:
「記事内容」によって「?!の有無」に関連があるかどうか分析した結果、「政治」の記事では「?!」が少なく(有:1件/無:5件)、「経済」では差が見られず、「スポーツ」では「?!」がやや多い(有:5件/無:3件)。



しかし、統計的に検定した結果、自由度2のときのカイ二乗値が2.99を示し、「記事内容」と「?!の有無」の間には有意な関連が見られなかった。


スタイル3
 検定結果だけを、表の形で整理して示し、「統計的な関連の有無」がある結果をまとめて示す

例1:
(1)「新聞の種類」と「?!の有無」、(2)「記事内容」と「?!の有無」、(3)「記事面積」と「?!の有無」について分析した結果、以下のように(1)「新聞の種類」と「?!の有無」には有意な関連が見られたが、他の分析では統計的に有意な結果は得られなかった。

(1)χ2=5.00, 自由度=1, P<0.05
(2)χ2=2.99, 自由度=1, N.S.
(3)t=-1.15,   自由度=18, N.S.

例2:以下のような形で、項目ごとに整理するのも分かりやすい。有意な差があったものでも「*」印のよって水準を分けているので、一目瞭然!






******テクニカルな表現でのコツ******

コツ1 エクセルでSPSSの結果表を清書する方法

 SPSSから出力された「クロス表/カイ二乗検定結果/t検定結果」などをそのまま、ワープロに張り付けたり、印刷して張り付けるのは、あまり美しくない
 → エクセルで表を作り直すのがベスト!

 ・SPSSで結果を出力する
 ・SPSSの「出力結果シート」上で、「利用したいクロス表」を選択
 ・「クロス表」をマウスで選択し、「右クリック」する
 ・「コピー」を選び、「左クリック」する

 ・Exellを立ち上げる
 ・Exellのセルの上で、「張り付け」する
 ・行や列ごとに、数字だけが「張り付け」されている
 ・不必要な文字列などを消去する
 ・罫線を使って、表題/データ/合計などに分けて完成!

 ・Word等ワープロソフトを立ち上げる
 ・Exellで作った数表を「左クリック」して選択し、コピーする
 ・ワープロ上に「張り付け」して、文章とともに解説!

コツ2 SPSSの数表をそのまま利用する方法

 SPSSから出力された結果をそのまま使うときは、観測値を用いたデータの表(クロス表や平均値)などに限定したい
 → 検定結果は、文章化して用いるか、別途表の形で整理するのベスト!

 ・SPSSで結果を出力する
 ・SPSSの「出力結果シート」上で、「そのまま利用できそうな数表」を選択
 ・「数表」をマウスで選択し、「右クリック」する
 ・「オブジェクトのコピー」を選び、「左クリック」する

 ・Word等ワープロソフトを立ち上げる
 ・「張り付け」する
 ・文章を加えて、数表の解説を!

******統計的検定結果、読解のコツ******

コツ1. 有意確立の見方に慣れる

 [クロス集計表/カイ二乗検定の場合]

有意確立は「二つの変数に関連がない」という仮説が、正しい割合である!
・有意確立「0.99」などの数字が出たら、「99%の割合で仮説が正しい=二つの変数に関連がない」、と読み解けばよい
・有意確立「0.55」でも同様「55%の割合で仮説が正しい」/有意確立「0.35」でも同様「35%の割合で仮説が正しい」と読む
「二つの変数に関連がある」と言い切るためには、この割合がかなり低くなくてはならない

有意確立「0.35」の場合、「二つの変数に関連がない」仮説が正しい割合が35%、「二つの変数に関連がない」仮説が間違っている割合が65%という意味である。
・読み替えるなら「二つの変数に関連がある」ことも65%の割合で起こりうる。
・しかし「二つの変数に関連がある」ことは、35%もの割合で間違っているのだ。

・「二つの変数に関連がある」ことを一般的に証明するには、それが間違っている割合が低ければ低いほどよい。
・よって、「二つの変数に関連がある」と言い切るために、どの程度低ければいいのか/どのレベル(水準)ぐらいまでこの割合が下がればいいのかを決めておく。
・有意確立が「0.10」の場合、「二つの変数に関連がない」仮説が正しい割合が10%程度しかないが、「二つの変数に関連がある」と言い切れない。なぜなら10回に一度は間違ってしまうような確立である。せめて20回に一度、あるいは100回に一度ぐらいの間違いのレベルにとどめておかないと、「正しい」とは言い切れない。
・そのレベル(水準)は「5%以下/1%以下」とする。一般的に、社会科学では「5%/1%」をこうした判断の線引きに使っている。
・つまり有意水準が「0.05」「0.04」などの数字になっているとき、「二つの変数に関連がない」仮説は間違っており、「二つの変数に関連がある」と考える。

・「二つの変数に関連がある」場合、「5%未満1%以上」の時と「1%未満」の場合を分けて考えておく。どちらも関連があるが、割合は低ければ低いほど「関連がる」のだから、「1%未満」の場合のほうがよりよく一般化できる。「5%未満1%以上」の場合は、「もしかして関連がないことも、ないわけではない」状態だ。
・「有意確立1%未満」の場合は「1%水準で有意」と表現し、「有意確立5%未満1%以上」は「5%水準で有意」と表現する。

・「有意」とは、「意味が有る」ということである。統計の世界では間違っているものは「意味がない」と考える冷たい世界だ。間違いの少ないものだけが、意味があるデータなのである。5%以上もの確立で間違っているデータは「有意」とは言わず、それ以下だけを「有意」とする。

・最後にもう一度、有意確立が「0.05以下/5%以下」のときに、「二つの変数に関連がある」と読む。

 [母平均の差の検定/t検定の場合]

・二つのサンプルから得た平均値は、比べてみると、いくらかの違いが見られるはずである。
・では、それぞれのサンプルの母集団を考えたとき、母集団においても同じように差があると言い切れるだろうか??......これを考えるのがt検定だ。

・統計の世界では「違い」や「関連」を考えるとき、「本当に違わないだろう/関連などないだろう」と考えることから始める。
・t検定も同じで、「サンプルから得た平均は差があるが、母集団を考えた場合には差はないだろう」と考えておく。
・t検定における有意確立とは、「母集団の平均値には差がない」という仮説が正しい割合である。
・カイ二乗検定と同じく、有意確立が低いということは、「母集団の平均値にも差がある」ということになる。
・「差がある」と言い切るには、有意水準が5%以下になっていればよい。

コツ2. 第一に注目するのは.......

・第一に注目するのは、観測値である。内容の「量」を調べていることを忘れない!

・第二に、統計的関連の有無に注目する。研究テーマであるメディアの違いによって、内容が変わるかどうか?統計的に検定する。

有意な関連のある結果を中心に、作表などの作業をすれば、手間も省ける。

・第三に、第二の結果をふまえて、もう一度、観測値に注目する。差がある/関連がある場合、内容の「量」がどの程度違い、どのような違いがあるのか、観測値から読み解く。
統計的な関連の有無が見られない結果に、大事な情報が隠れていることが多々ある